第7回 コウヘイ君のクリスマスプレゼント(解説)

 コウヘイ君は、一生懸命練習したので、素晴らしいクリスマスプレゼントが当たりました。プレゼントは、クマゲラが製作した新しい鉄棒でした。機械加工を手伝ってくれた社長さんからは、「手作りの味があっていいネ」って褒められて(?)しまいました。

コウヘイ君の演技のご紹介と後先になりましたが、この新しい鉄棒をご紹介します。

今回のご紹介にあたり、完成した鉄棒のご紹介だけでなく、クマゲラが試してきた経過についても詳細に紹介させて頂きました。失敗した経過からでも新たな気付きがあるかも知れません。また、皆さんがトライしようと思ったときの何かの参考にでもなれば嬉しいです。

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◆新しい鉄棒


 先にご紹介した百均鉄棒(この型式をHK-1型と呼ぶことにしました。)は、クマゲラの自家用であり、とりあえず鉄棒運動をやってみよう」という方向けの入門用でした。そもそもが鉄棒の可能性の確認という位置付で作成したものでした。これに対し、今回の新しい鉄棒は、ロボゼロで本格的に鉄棒運動をやりたいという方向け用であり、コウヘイ君の演技開発用や、開発した演技の練習、発表用という位置づけで製作しました。

 HK-1型では巾が足りなくてできなかった動作や、吊り輪や空中ブランコなどの高い位置での運動もてきるよう配慮しました。
 同時に、家庭用、ホビー用として、狭い部屋でも使用できるよう必要面積を極力小さくするとともに、簡単に移動ができるよう軽量、かつ一体型にして可搬性を確保し、さらに、簡単に分解、組み立てができる構造を目指しました。

もちろん落下に対する安全ネットも装備しています。

 同時に、HK-1型と同じように、廉価、かつ誰にでも作成できる構造を模索しましたが、この要件に対しては、機械加工が必要になったり、専用工具が必要になったりと、十分な要求を満たせませんでした。

 更に、今回ご紹介する鉄棒の型式をPA-1型としました。今後、PA-2型、PA-3型ができるかもしれません。PA-1型には、下記の写真のPA-1a型と先日演技で使用したPA-1b型の2種類があります。

 
PA-1型の主な仕様
 ・大きさ:50cm(巾)X60cm~80cm(奥行)×60cm~100cm(高さ)
 ・重量:約2kg
 
以下に新しい鉄棒を使用した運動についてご紹介させて頂きます。
 

◆鉄棒

 鉄棒については、既にいつろいろな形でご紹介させて頂いていますのが、他の新しい運動との比較の意味で簡単に記述させて頂きます。
 
 鉄棒運動は、重力に逆らうために早いスピードで回転することが必要となります。そのため大きな力(馬力)が必要てす。同時に、スピードに合わせて姿勢をコントロールする必要がり、バランスとタイミングが演技を成功させるための重要な要因となります。
 
 そのために、動力源として、6本直列のエネループが最低でも3セット(計18本)必要で、並列接続しなければなりません。このように考えると、AC電源をベースとした電源を準備したほうが、モーションの開発効率が良いかも知れません。
 
 主なサーボの調整項目としては、肩(R1,R24)、肘(R4,21)、腰(R6)、膝(R8,R17)と他の運動に比べ、比較的少なくてすみます。これは、モーションの検討個所が少なく、慣れてくると、モーションの調整がしやすい、動きの想像がしやすい、調整対象項目が絞り込みやすいなどの特徴があります。
 

◆ブランコ

 ブランコは以下の特徴があるため、モーション作成の修得に適していると思います。その意味では、モーション作成の入門演習と言えるかも知れません。これからモーションの作成、モーションプログラムにチャレンジしようとする方は、先ずは、ブランコから始めることをお勧めします。
 
 
 

◇ブランコの特徴

1.誰にでも幼い頃に経験しているため、モーションのイメージができており、馴染みがある
2.そのため、モーションの評価が感覚的にできる
3.その結果、モーションの改善方法が簡単にイメージできる

4.調整する主な要素が膝(R9,R12)だけと少ない
5.座っているので、転倒の心配がない
6.運動量が少ないため、大きな馬力が必要なく、エネルー6本直列の1セットで十分である

しかし、実際に行ってみると、一筋縄でいかない様々な問題が発生します。これらについては、実際に遭遇しながら、独自の方法で解決していくことが大切です。この意味でも、モーション修得演習として適していると思います。
 
 

◇クマゲラが遭遇した問題

 以下に、クマゲラが遭遇した問題と解決方法をご紹介します。それ以外にもいろいろな方法があると思います。 
 
 クマゲラが最初に作成したブランコはこの写真のブランコでした。「ブランコなんか単だい!」と高を括っていクマゲラでしたが、様々な問題に遭遇しました。
 
 皆様も挑戦してみてはいかがでしょうか。きっと様々な気付きが得られるでしょう。そして、クマゲラとは違った解決方法を見つけることができると思います。 
 
 
 ブランコで遭遇した主な問題は、先ず、「ブランコに乗れない。」という想像もできない出来事でした。体脂肪率0%のコウヘイ君は、お尻の肉付きが悪く、ブランコ座ってもすぐにブランコがお尻がら後ろへ逃げて(外れて)しまいました。
 
  また、実際のイメージを重視して、チェーンを採用したことが大失敗でした。指がチェーンに引っかかったり、指先がチェーンの輪に入りこんで絡まったり、手からチェーンが外れたりで、モーション作成にはなかなか着手することがてぎませんでした。
 
 これらが(次の方法で)解決した後も、しばらくは脚をバタバタしているだけで、ブランコが動き出すモーションを作成することはできませんでした。

◇クマゲラが行った工夫

最終的に、次の3点について、工夫を行うことで、モーションの作成に入ることができました。

 先ず、ブランコがお尻の後へ逃げる問題については、ブランコの前側に、サンを付け(A)、これを腿の付け根(後ろ)に引っ掛けることで解決させました。

 これで解決したのと思いきや、モーションが出来上がり、テストを繰り返していると再びブランコが前へ逃げることが目立ち始めました。これについては、試しに家具のL型の留め金で背当て(お尻あて:B)を付けたことで解決できました。仮の留め金でなく体裁の良いきちっとしたものにしたいと思っていますが、未だにそのままになっています。
 
 
 指がチェーンに絡まる問題に対しては、チェーンではなく、紐に交換することで解決しました。紐にして、絡まりは解消しましたが、手から紐が外れてしまうことは解決できませんでした。
 
また、ロボの握りは完全には握れないため、紐ではスカスカになり手と紐が滑ってしまいブランコを漕ぐことはできませんでした。
 子供の頃のブランコを思いだしてみると、手の握りはしっかりとブランコのチェーンを握っていたのを思い出しました。ブランコは、チェーンをしっかり握ることで漕ぐことがてきるようです。
 
 これに対しては、最終的には、(C)のように、ゴムシートを紐に巻くことで解決しました。手が滑って漕げないことに対しては、ゴムシートを止める結束バンドを増やすとともに、その止め口を千鳥に配置することで凸凹を作ることで解消しました。 
 

◆吊り輪

 吊り輪は、鉄棒のような早いスピードは要求されないようです。
 吊り輪は、スピードではなく、重心移動により姿勢をコントロールすることで演技をします。そのため、バランスのとり方が演技を決める重要な要素となります。同時に、自力では、自重を持ち上げることがてきないため、反動を利用しなければなりなせん。つまり、バランスと反動をいかに利用できるかが、演技の成功要因となりそうです。
 
また、腕を開く際に大きな力がかかるため、腕を横方向に開く関節(R2,R23)はメタルに変更したほうが良いでしょう。
 
 
 
 
 吊り輪の輪は、最初は手が入れば大丈夫という考えで、A(内径23mmのカーテンリング)に滑り止めとしてゴムシートを巻いて使用していました。親指側がしっかり掴めるため、滑り止めを親指側にずらして付けていました。しかし、手が輪から外れるという問題は吊り輪でも解消できませんでした。そのため、ゴムシートを掴むところ全面に巻くようにしました。(B)
 
 また、吊り輪は体の回転に合わせて、手の中で輪が手の平の方から甲の側へ自由に動かないとうまく演技できないことが分かってきました。輪が手の中でうまく手の平から甲へ動くようにするためには、輪の径が大きいことが必要なことも分かってきました。そのため、内径30mmのカーテンリング(C)を見つけこれに交換しました。このとき、ブランコの経験を生かして、輪にコブを付けることにしました。ゴムシートを止める結束バンドの数を増やすことでコブを増やし、外れにくくする対策を講じました。
 
 しかし、この結束バンドのコブがさらに輪の手の平から甲への動きを難しくしてしまいました。
 しかも、一向に手から輪の外れてしまうことは、解消されませんでした。
 
  うまく吊り輪演技を行うためには、結束バンドを使うことなく、輪の外れを防止するための抜本的な対策が必要であることが分かってきました。そこで、手の(指の)構造の改良に取り掛かりました。その結果、ほとんど外れなくなりました。その方法については、後述します。(本ページの[◆手の構造の改良] の項を参照下さい。)
 

 
 
 吊り輪の径(内径) A,B:23mm  C::30mm  D:50mm  E:38mm
 
 手の構造の改良により、輪が外れる心配はなくなりましたが、相変わらず輪の手の平から甲への動きは、体の回転のとき手の甲の装飾に当たり、演技を阻害する状態が続いていました。その解消のために新たに、更に大きい輪を手芸店に求めました。
 

 手芸店にて、内径が50mmの輪(D)を入手することができました。ゴムシートを巻く訳にはいかないので、ケープルを束ねるスパイラルバンドの巾を半分に切り、輪に巻きつけることで対応しました。

 Dの輪は、手の甲に当たることもなく、外れることもなく、すこぶる良好に手の平から甲への動くことがてきました。
これにより、吊り輪の演技は、進んだのですが、径が大き過ぎたため、今度は体が回転するときに、輪が体の一部に接触するという新たな障害が発生しました。

 この頃は、新たなフェーズに入る度に、次々に新たな問題が発生していました。
 そのため、新たなリングを探していました。そして、見つけたのが内径38mmのリング(E)でした。
このリングは、高校生の頃、英単語の暗記で使ったカード用のリングです。このリングは真ん中から開くことができ、これが吊り輪には最適でした。3mm(内径)×5mm(外形)のチューブを8mm×10mmのチープに入れ、これにカードリングの開いた部分からリングを入れることで結束バンドを使うことなく、適度な太さのリングを確保することがてきました。

現在は、このタイプを使用しています。
 
◆手の構造の改良
 
 
 ロボゼロの手の対策については、先進的な諸兄の皆さんが様々な提案を男のロボット掲示板にて発表してもらっています。クマケラもこの記事には大変参考にさせて頂いています。
 
 現在の手の構造は、図のようになっています。
 標準では、外側から、親指の部品、人差し指の部品、中指の部品・・・と順に組み付けられています。る

この親指と人差し指の部品の位置を入れ替えることで、握ったときに、人指し指が外側になるように組み立てることができました。同時に、親指と人差し指を連結させるネジを2×20mmに変更し、全ての指に掛かるようにしました。
 
 

   
 こうすることで、握った時、親指と人差し指の間隔を無くすことができ、輪の外れを防止することがてきるようにりました。この方法により、空中ブランコでも、手から紐の外れを防ぐことがてきました。
 


 この方法では、人差し指が外側になりますが、握ったときに、親指と人差し指がぶつかってしまう場合があります。このような場合には、人差し指の甲にある黒い止めパイプを少しきつめに絞りこむことで、更に人差し指が外側に向き、親指にぶつかることがなくなりました。もし、親指と人差し指が当たってしまう場合には、試してみてください。

◆空中ブランコ

空中ブランコは、基本的には、ブランコの延長線上にありますが、座る部分にバー(パイプ)を使用しているため、ブランコに比べ安定性に欠けます。また、握る部分(握る場所)が一定でないため、ブランコのように、握る部分を太くすることもできません。



 
 
  演技の姿勢により、いろいろな場所に負荷かかかることは予測に易しいことです。負荷のかかる可能性のある個所は予めメタルへの交換の検討が必要でしょう。
モーションとしては、ブランコの他、鉄棒や吊り輪のモーションも組み入れていくことができそうです。
 
 最初に作成した空中ブランコは、巾の狭い(12cm)ものでした。ロープ(紐)の長さの見当がつかなかったことから、長めのロープてした。
 
 
 現在使用している空中ブランコは、下から掴むスペースを確保するため、巾の広いバー(18mm)を使用しています。このほうが自由度が高く使いやすいと思い子ます。

 
 バーの部分は、7Φのパイプを用いています。このパイブに紐(ロープ)をとおして、吊っています。
ロボの位置によって、パイプが傾くことかあるので、パイプの両隣にストッパーとして結束バンドで止めましたが、効果のほどはイマイチのようです。
 
 
 
今後、バーの傾きを止める工夫が必要なようです。
 
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 簡単ですが、クマゲラが作成した新しい鉄棒について紹介させて頂きました。今回は、インフラ(?)の紹介となりましたが、皆様のロボゼロ君のためなにかのご参考になれば幸いです。

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